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臨床精神医学 第50巻 第9号 (2021年9月号)
​特集:ライフコース全体で考えるメンタルヘルス

臨床精神医学 2021年9月号

 メンタルヘルスにおいて、個人のライフコースという時間軸で考えることは、これまであまりなかったように思われます。しかし、明確な症状の発症後だけをみるのでなく、発達期から症状が認められるまでの時間軸の中で病態を捉えることは、発症前の個人の特質、体験、ライフスタイルがいかに疾患の形成と進行に最終的な影響を与えるかが科学的に証明されてきた現在において、患者さん(当事者の方々)のためには大変重要な視点です。

   

   本特集では、この新しい視点を軸において、サービス提供者だけでなく、当事者を含めたマルチステークホルダーによる多角的な観点で、総合的な議論がなされることを目的として、編集を行いました。したがって、当事者、医学、看護、シンクタンク、行政、そして国際的な視点をもった方々を各章の著者にお招きして構成してあります。

 

  ご存知のように、我々京都大学の客員講座は、その母体であるジョンズホプキンス大学精神医学の部門の支援も得て、非営利、独立、超党派のシンクタンクである日本医療政策機構と、「国際潮流と日本のメンタルヘルス政策グローバル専門家会合」シンポジウムを2019年12月に共催しました。本特集号は、このシンポジウムで産学官民が集結して話し合った成果と、そこからの新しい発展が含まれています。日本のメンタルヘルスをよりよい方向へ発展させることができる、との期待を込めて多くの方々の協力により刊行となった特集号です。

​『臨床精神医学』第50巻第9号(2021年9月号)

 発行:株式会社アークメディア

<目次>
概 論 ……………………………………………………(Johns Hopkins University)澤 明・他

―ライフコースアプローチについて―
診断前サポートの重要性 …………………………(国立精神・神経医療研究センター)金 吉晴
アルツハイマー病のトラジェクトリー ―ライフコースアプローチのモデルとして― 

………………………………………………………………………………(東京大学)新美 芳樹・他
精神疾患における早期介入と予防―機能的転帰の改善に向けて― 

………………………………………………………(国立精神・神経医療研究センター)住吉 太幹
児童青年期から成人期までのメンタルへルス―ライフコースアプローチの視点から― 

……………………………………………………(発達障害クリニック附属発達研究所)神尾 陽子

―ライフコースアプローチをマルチステークホルダーの視点に生かして―
看護学の視点からのアプローチ ………………………………………(鳥取看護大学)遠藤 淑美
非営利・独立・超党派の政策シンクタンクの役割―マルチステークホルダーの連携促進― 

…………………………………………………………………(日本医療政策機構)栗田 駿一郎・他
地域連携強化のための政策 ………………(国立精神・神経医療研究センター)久我 弘典・他
精神保健福祉サービスの立案と提供にサービス利用者の視点を活用する 

……………………………………………………………………(日本医療政策機構)杉浦 寛奈・他
当事者視点の精神医学知―医療人類学的考察― ………………(慶應義塾大学)狩野 祐人・他

―ライフコースアプローチ:国際的視点から―
ライフコースアプローチとグローバルヘルス―複雑化する世界とSDGs― 

……………………………………………………………………………………(長崎大学)茅野 龍馬
当事者とともにあゆむ,ジョンズホプキンス大学でのアカデミアの活動 

……………………………………………………………(ジョンズホプキンス大学)Yukiko Y Lema
アメリカとの比較と日本が取り得る戦略 ………(国立精神・神経医療研究センター)成田 瑞

 

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