サイコロジカル・ファーストエイド ジョンズホプキンス・ガイド
身体的外傷,重大な事件,災害には心理的苦痛がほぼ必ず伴います。そのため,急性期のこころのケアは,身体的な応急処置と同じように不可欠な要素と言えます。
心理的応急処置(Psychological First Aid : PFA)は,急性ストレスやトラウマの影響を緩和し,危機にある人が逆境に効果的に対処できるように支援するためのものであり,天災,人災を問わず,さまざまな緊急事態に適用されます。
本書は,ラポール形成,アセスメント,トリアージ,苦痛軽減,フォローアップという中核的要素から成るRAPID PFAモデルをご紹介するものです。著者の一人はジョンズホプキンス大学にも所属する研究者で、ジョンズホプキンス大学公衆衛生学校にてこの講義を担当しており、本書を「ジョンズホプキンスガイド」としています。
このシンプルな介入プロセスから構成されるモデルは,担い手を心理士や医師に限定せず,看護師,警察官,救命救急士など広い領域で役立てることができる可能性があります。この本を手に取っていただいた読者の皆様が、このモデルの妥当性、信頼性を検証いただき、活用していただけることを期待しています。
※北陸地方の地震災害を受け、金剛出版のご厚意により『サイコロジカル・ファーストエイド ジョンズホプキンス・ガイド』の電子書籍データの無償提供が1月9日より開始されています。被災者の心のケアに携わる方々、ぜひお役立てください。
申し込みは下記URLをご参照の上、お手続をお願いします。(2024年1月9日追記・10日修正)
https://www.kongoshuppan.co.jp/news/n55585.html
『サイコロジカル・ファーストエイド ジョンズホプキンス・ガイド』
ジョージ・S・エヴァリー/ジェフリー・M・ラティング著
澤 明/神庭重信 監修 中尾智博/久我弘典/浅田仁子 監訳
日本若手精神科医の会 訳
金剛出版 2023年
目次
RAPID PFA日本語版の発行に寄せて
監修者まえがき
読者への手引き
序文――私たちはどのようにして今に到ったか?
謝辞
第Ⅰ部 心理的応急処置(PFA)――科学
第1章 心理的応急処置(PFA)――定義と歴史
第2章 外傷体験がもたらす心理的反応――現場で遭遇するもの
第3章 災害のあと――PFAが求められる大規模な背景
第Ⅱ部 PFA――技術の実践
第4章 R ラポールの確立と聞き返し
第5章 A アセスメント――ストーリーに耳を傾ける
第6章 P 心理的トリアージ――優先順位付け
第7章 I 状態を安定させ,急性の苦痛を軽減するための介入戦術
第8章 D 締めくくり――継続的ケアを受けやすくする
第9章 セルフケア――他者のケアは自らのケアに始まり,自らのケアに終わる
補足資料:呼吸法
文献
被災者の支援を望むメンタルヘルス従事者へ