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新しい翻訳本が出版されました!『システマティック臨床精神医学:4つの多元的観点による治療体系化』です。

先月末に、私が監修で関わった、我々のチームによる新しい翻訳本が出版されましたので、ご連絡いたします。この本は、ジョンズホプキンス大学精神医学部門における考え方の基本となっている『マクヒュー/スラヴニー 現代精神医学 The Perspectives of Psychiatry』(これは、すでにみすず書房から 2019年に出版されています。こちらもぜひご覧ください!)を、実際の臨床現場に即した形でわかりやすくまとめた “Systematic Psychiatric Evaluation: A Step-by-Step Guide to Applying The Perspectives of Psychiatry” を翻訳したものです。実際の翻訳にあたってくれた方々は、ジョンズホプキンス大学に留学されたり、学位を取られた日本の精神科の先生方です。素晴らしいお仕事をしてくださったと信じております。中外医学社より『システマティック臨床精神医学:4つの多元的観点による治療体系化』として出版しました。

 

精神神経科臨床においてはThe Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders  (DSM) などが、現在の診断基準体系の骨格を作っています。しかし、これらは画一的なマニュアルであり、臨床の現場を表層的に硬直化したものにしてしまうリスクがあります。もっと学術的に DSM の本質的問題をいうなら、これは診断分類としてカテゴリカル (categorical) の様式であり、精神疾患、臨床的精神症状を正しく捉えるためにはもっとディメンジョナル (dimensional) な見方が欠落、もしくは不足していることが挙げられます。このカテゴリカル、ディメンジョンナルな問題は、別に数回の機会を使ってお伝えしたいと思います。いずれにしても DSM 通りに患者さんを分類すればそれで終わり、ということとは精神神経科臨床は程遠いです。だからといって、マニュアルを越えたいならば個人技を上級医から教わるしか方法がないのでは、一般化という問題が生じます。この問題点を克服しようとするのが“Perspectives”の考え方です。本書における具体的症例を見ることで、この理論とその実践応用が、わかりやすく理解していただけるものと信じます。私は、全体の企画者、監修者として、「読者への手引き」を書いたり、私のジョンズホプキンス大学病院の同僚である著者2名との調整をしました。

 

精神神経症状は、全ての医療診療科の疾患で認められるものです。精神神経症状に対応すべき時に、画一的なマニュアルに限界を感じる医療者は多いと思います。この本は、こうした全医療者に勧めたい内容となっています。現在の医療は、プレシジョン・メディスン (precision medicine) として、個人を大切にするものになってきています。プレシジョン・メディスンとしての精神神経症状への対応、その実践に、きっとこの本は大いにお役に立てることを願っております。

 

 



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